DCF法とは将来予測される収益を割引率で現在価値に置き換えて、
投資の判断材料にするという収益還元法の一つです。
DCFはDiscounted Cash Flowの略称です。
具体的にはDCF法は企業や不動産収益の将来に得られる
キャッシュフローを予測して、その後の企業や不動産の売却益を
加味した後に割引率を用いて現在価値を割り出す方法なのですが、
少し簡単に考えてみましょう。
100万円を預けたら、10年後に10万円の利息が付く金融商品が
あったとすると、この金融商品の現在価値はいくらになるのでしょうか。
付帯条件として、この時に100万円を普通預金に預けた場合には、
10年後に101万円になるとします。
10年後に10万円の利息が付くのだから、110万円で売るという考えは
DCF法では取りませんし、DCF法を知っている方は買いません。
DCF法では10年後に110万円になる金融商品の現在価値を割り出します。
このケースでは普通預金に100万円を預けても101万円になるのですから、
101万円÷100=1.01という数値を割引率と考え金融商品に適用します。
110万円÷1.01=1,089,109円となりますが、この金額が金融商品の現在価値となります。
1,089,109円で金融商品を売っても、そのまま普通預金に預ければ
10年後に110万円になっているので、売った人に損は出ないということです。
非常に簡単に考えたDCF法の一端は以上のようなものです。
DCF法はバブル崩壊後の不動産評価の実務において急速に広まった
経緯がありますが、現在では収益還元法の主流と成しています。
専用のソフトも数多く開発されているようです。
不動産投資の世界で市民権を得たDCF法ですが、企業の株式価値を
算出する方法にも用いられ、企業買収の分野で頻繁に活用されているようです。
企業のFCF(Free Cash Flow)を割引率から現在価値に置き換えて、
事業価値や株式価値を算出していくのですが、FCFの予測と適正な
割引率の算出が非常に困難なため、数多くのシミュレーションを行う必要があるようです。